老後の資産形成を効率的に行えるとして話題の「イデコ(iDeCo)」。
ただ、ひとくちにイデコといっても投資できる商品や対応した証券会社の選択肢はさまざまです。
「どの証券会社でイデコを始めれば良いのか分からない……」
「イデコを始めたらどの商品に投資すれば良いのか分からない……」
このようにお悩みの方も多いのではないでしょうか?
本記事では編集部が調査したなかで「特におすすめできる証券会社」や「イデコで運用するのにおすすめの投資信託」について解説します。
ページContents
イデコ(iDeCo)を始めるのにおすすめのFX会社ランキング
イデコ(iDeCo)を取り扱う金融機関や証券会社は数多くあり、選ぶのに苦労することになるかもしれません。
ここでは編集部が調査したうえで太鼓判を押す「イデコにおすすめのネット証券」について紹介します。
SBI証券|ネット証券で加入者数No.1
・イデコの加入者数がネット証券でNo.1
・「SBI-iDeCoロボ」を利用すると、自分に合った商品を提案してくれる
SBI証券は、ネット証券でイデコの加入者数がNo.1です。15年を超える安定した運営実績があり、迷った時の選択肢として有力です。
「口座開設手数料」「運営管理手数料」の2つが0円であり、コストを抑えた運用も可能になります。
さらに「SBI-iDeCoロボ」のサービスによって、自身の投資ニーズに合った商品を紹介してくれるサービスも優秀です。
運営管理手数料 | 0円 |
口座管理手数料 | 171円 |
投資信託の本数 | 84件 |
楽天証券|初心者でも迷わないラインナップ
・32本の厳選ラインナップから商品を選べる
・独自の管理画面が見やすく、初心者でも使いやすい
楽天証券のiDeCoは、厳選された32本のラインナップ(定期預金含む)から投資商品を選択できます。本数はSBI証券に若干劣りますが、その分だけ選びやすい数といえるでしょう。
楽天証券専用の管理画面は使いやすく、ひと目で分かるので初心者でも操作で迷うことはないでしょう。
運営管理手数料 | 0円 |
口座管理手数料 | 171円 |
投資信託の本数 | 31本 |
LINE証券|LINEアプリで手軽に投資できる
・申し込み手続きは最短5分
・運用は野村証券が行う
LINE証券のイデコは、加入時の申込手続きをネット上で完結できるのがメリットです。
実際の運営は90年以上の歴史を誇る「野村証券」が行うので、「できるだけ大手の証券会社が良い」と考えている人にもおすすめできます。
LINE証券口座を持っていれば最短5分で申し込みが完了するため、手軽に手続きしたいと感じている方にも最適です。
運営管理手数料 | 0円 |
口座管理手数料 | 171円 |
投資信託の本数 | 23本 |
松井証券|安心のサポート体制
・40種類の幅広いラインナップ
・運用管理手数料も口座開設手数料も最安レベル
松井証券では、40種類の幅広い商品ラインナップから投資商品を選択できます。
運営管理手数料は無料、口座管理手数料も最安の171円と、コンビニでサンドイッチを買うより安いコストで投資を始められます。運営管理手数料も0円で利用でき、コストを抑えながらの資産運用におすすめです。
さらにサポート体制も充実しており、「平日の08:30〜17:00」までならイデコの不明点について問い合わせができます。
運営管理手数料 | 0円 |
口座管理手数料 | 171円 |
投資信託の本数 | 26本 |
auカブコム証券|iDeCoで資産形成いしながらポイ活できる
・au IDを持っていれば対象の投資信託の保有残高に応じてPontaポイントがもらえる
・シミュレーションや資産管理もアプリで行える
auカブコム証券は、運営管理手数料0円でイデコを利用できるネット証券です。
au IDを持っている場合、対象の投資信託の保有残高に応じてPontaポイントがもらえるという、他社にはない大きな特徴があります。
※ポイントがもらえる商品は「auスマート・ベーシック(安定/安定成長)」と、「auスマート・プライム(成長/高成長)」の2つです。
積立額のシミュレーションや運用資産の管理までスマホアプリ1つで行えるため、投資スタイルの見直しも簡単です。
運営管理手数料 | 0円 |
口座管理手数料 | 171円 |
投資信託の本数 | 26本 |
SMBC日興証券|iDeCoでお得にポイントを貯められる
・残高に応じてdポイントがもらえるキャンペーン実施中
・「日興iDeCo加入&シミュレーション」を使って無料で各種シミュレーションが可能
SMBC日興証券では、NTTドコモの「dアカウント」と「日興iDeCo」を連携させることで、dポイントが貯まるお得なキャンペーンを実施中です。
2023年3月31日までの期限付きですが、最大で3,000ポイントのプレゼントが受けられます。
また「日興iDeCo加入&シミュレーション」というサービスでは「自分がいくらまで拠出できるか」「どれだけお得になるか」が分かるほか、どの銘柄を選択するか迷った際はシミュレーションを使ってチェックすることもできます。
運営管理手数料 | 0円 |
口座管理手数料 | 171円 |
投資信託の本数 | 29本 |
マネックス証券|ロボアドバイザーがプラン提供してくれる
・ロボアドバイザーによるプラン提供を受けられる
・お問い合わせダイヤルは土曜日でも受け付け
マネックス証券ではiDeCo専用のロボアドバイザーが用意されており、自身に最適な商品を案内してくれます。
ロボアドバイザーがオススメする運用プランの信託報酬は0.15%程度で、コストを最小限に抑えつつも自身のリスク許容度に合った運用が可能です。
お問合せダイヤルはiDeCo専門スタッフが対応し、祝日を除く土曜日も対応してくれるなどサポート体制が整っています。
運営管理手数料 | 0円 |
口座管理手数料 | 171円 |
投資信託の本数 | 26本 |
野村証券|総合証券としては最大手クラス
・外部評価で五つ星を獲得したサポート体制
・30種類以上の厳選商品から、優良な商品を選択できる
野村証券は総合証券としてトップクラスの規模を誇る証券会社です。
サポート体制は高い外部評価を得ており、「問い合わせ窓口(電話)」「Webサポート」「クオリティ」の3部門で五つ星を獲得しています。
投資信託のラインナップは31本と幅広い選択肢でありながら、かつ厳選された優良なファンドから選ぶことができます。
運営管理手数料 | 0円 |
口座管理手数料 | 171円 |
投資信託の本数 | 31本 |
イデコ(iDeCo)向けの金融機関・証券会社の選び方
イデコ向けの金融機関として、おすすめの業者をいくつか紹介してきました。
とはいえ、1社に絞り込むのは大変な作業です。どの業者にすれば良いか分からずイデコを始められない人もいるでしょう。
そこで、イデコ向け金融機関・消費者金融を選ぶ際のポイントとして、以下の3つを紹介します。
・投資したい商品はラインナップに含まれるか
・運営管理手数料はいくらか
・付帯サービスは?
投資したい商品はラインナップに含まれるか
イデコで投資できる商品は、どの金融機関・ネット証券でも同じではありません。
そのため、「いざ口座開設をしてみたら買いたい商品を取り扱っていない……」ということも十分に考えられます。
投資信託の取り扱い本数・元本確保型の商品のラインナップが全て異なるので、イデコのための証券口座を開設する前に、「どんな商品に投資したいか」を明確にしておくことをおすすめします。
– | 投資信託 | 定期預金 | 保険 |
SBI証券 | 36 | あり | なし※セレクトプラン |
楽天証券 | 31 | あり | なし |
マネックス証券 | 26 | あり | なし |
運営管理手数料はいくらか
イデコは国民年金基金連合会に支払う手数料のほかに、証券会社に手数料(運営管理手数料)を支払う場合があります。
金融機関や証券会社ごとに設定はバラバラなので、できるだけ運営管理手数料が安い、できれば0円の証券会社を選択しましょう。
– | 運営管理手数料 |
SBI証券 | 0円 |
楽天証券 | 0円 |
マネックス証券 | 0円 |
ネット証券では、多くの場合で運営管理手数料が0円です。
一方、大手銀行などの場合は運営管理手数料がかかるケースがあるので、コストを少しでも抑えるならネット証券が良いでしょう。
付帯サービスは?
イデコに関連したサービス内容も、金融機関や証券会社ごとに異なります。
サポート体制が充実した証券会社を選べば開設後もストレスなく利用できますし、疑問点を解消して効率的な運用が可能です。
たとえばSBI証券ではイデコの運用に関してロボアドバイザーが利用できます。
リンク:SBI証券|運用商品選びをサポート!「SBI-iDeCoロボ」
利用者の「投資経験」「資産運用へのこだわりポイント」などの聞き取り結果をもとに、ニーズに合った商品選びをサポートしてくれるサービスです。
投資信託だけでなく、リスク許容度に応じて元本確保型の商品も選んでくれるので安心ですね。
SBI証券以外にも、証券会社ごとにさまざまなサポート体制が用意されています。
取り扱い商品やコストと一緒に付帯サービス・サポート体制も比較して、自身に合ったサービスを利用しましょう。
イデコ(iDeCo)におすすめの投資信託ランキング
イデコ(iDeCo)は、自身が選んだ商品の運用成績によって、将来のリターンが変わります。
「定期預金」「保険」という選択肢もありますが、大きく資産が増えないので「運用期間中の非課税」というメリットが活かせません。
将来の資産形成に役立てるなら、「投資信託」を組み込むことを検討してはいかがでしょうか?
ここでは2022年10月時点で、特におすすめできる投資信託の銘柄を解説します。
・eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
・eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
・ひふみ年金
・eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)
・たわらノーロード バランス(8資産均等型)
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
アメリカの代表的な指数である「S&P500」に連動したリターンを目指す投資信託です。
過去1年のトータルリターンが10%に迫っていることからも分かる通り、アメリカ経済の強さを享受することで大きなリターンが期待できます。
信託報酬の低さも注目です。0.0968%と0.1%すら下回っており、リターンの期待値でもコストでもおすすめできる商品です。
基準価額 | 20,140円 |
純資産総額 | 1,623,954百万円 |
信託報酬 | 0.0968%以内 |
トータルリターン(1年) | 9.42% |
トータルリターン(3年) | 19.72% |
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
「オールカントリー」の名前のとおり、全世界の株式に投資できる投資信託です。
小型株は含まず「大型株・中型株」に投資する特徴があり、小型株まで投資するタイプの全世界株式とはリターンが若干異なる傾向があります。
日本株を構成銘柄に含めない「除く日本」というラインナップもあり、日本以外に投資したい方にはこちらがおすすめです。
基準価額 | 17,157円 |
純資産総額 | 730,169百万円 |
信託報酬 | 0.1144%以内 |
トータルリターン(1年) | 3.04% |
トータルリターン(3年) | 14.91% |
たわらノーロード バランス(8資産均等型)
マザーファンドに投資する「ファミリーファンド方式」を採用した投資信託で、投資対象は「国内株式」「国内債券」「先進国株式」「先進国債券」「国内リート」「先進国リート」「新興国株式」「新興国債券」の8資産です。
さまざまな資産に分散投資でき、配分比率が一定以上ズレた場合にはリバランスも自動で行われます。
基準価額 | 13,187円 |
純資産総額 | 36,034百万円 |
信託報酬 | 0.154%以内 |
トータルリターン(1年) | -2.42% |
トータルリターン(3年) | 5.33% |
eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)
国内外の株式や債券、不動産という金融商品別に、ほぼ同じ比率で投資できる投資信託です。
前述した「たわらノーロード バランス(8資産均等型)」と比較すると信託報酬は同じですが、純資産総額が多く、運用の停止リスクが小さいというメリットがあります。
細かな違いとして「新興国債券」のベンチマークが異なり、リターンに差が出る可能性がある点に注意が必要です。
基準価額 | 13,485円 |
純資産総額 | 164,610百万円 |
信託報酬 | 0.154%以内 |
トータルリターン(1年) | -0.84% |
トータルリターン(3年) | 5.75% |
ひふみ年金
「日本を根っこから元気にする」というコンセプトを持った、主に日本の成長企業に投資をする投資信託です。
アクティブファンドに該当する商品ですが、信託報酬は0.836%とアクティブファンドとしては低めに抑えられています(一般的なアクティブファンドの信託報酬は1.0%前後)。
日本だけでなく海外にも投資するので、「日本を中心に世界にも投資したい」と考える方にピッタリの投資信託です。
基準価額 | 16,580円 |
純資産総額 | 53,913百万円 |
信託報酬 | 0.836% |
騰落リターン(1年) | -18.09% |
騰落リターン(3年) | 5.62% |
イデコ(iDeCo)とは
イデコ(iDeCo)の正式名称は、「個人型確定拠出年金」です。
「任意で加入」「自分で掛金を決める」「自分で運用商品を決定して資産運用する」と、自己責任のうえで利用する制度ですが、運用の結果次第では受け取れる年金に大きく上乗せしたお金を一時金や年金形式で受け取ることが可能です。
イデコ(iDeCo)のメリット
イデコは国が提供する非課税制度であり、投資に利用することでさまざまなメリットが期待できます。
ここでは、イデコで得られる主な3つのメリットを紹介します。
・掛金の全額が「所得控除」になる
・運用中の利益が非課税
・受け取り時も控除がある
掛金の全額が「所得控除」になる
イデコで拠出した掛金は、金融商品の種類に関係なく全額が「小規模企業共済掛金等控除」として所得控除の対象です。
【所得控除とは】
「1年間の課税所得から、掛金分を差し引ける仕組みのこと」
年間の所得が300万円の人が年間24万円をイデコで拠出した場合、課税所得は276万円に減少します。
減少した課税所得の分だけ、納めるべき「所得税」「住民税」が減少するのがメリットです。
所得税率・住民税率が10%ずつと仮定すると、課税所得300万円と276万円では以下のように所得税・住民税が変わります。
イデコの拠出額=年間24万円と仮定した場合
所得税(年率10%と仮定)=24万円×10%→24,000円
住民税(年率10%)=24万円×10%→24,000円
合計の節税額=48,000円
運用中の利益が非課税
株式投資でも投資信託でも、普通預金の利子でも、利益に対して「20.315%」の税金が課されます。
通常の資産運用では、利益の約80%しか受け取ることができません。
しかし、イデコの場合、運用期間中の利益は全て非課税になります。
このメリットが活きてくるのは、たとえば「リバランス」の時です。
【リバランスとは】
「金融商品の投資比率が崩れているのを、最初に決めた比率に下げる作業」
たとえば以下のようなケースで考えてみます。
・「株に投資する投資信託A」「債券に投資する投資信託B」に50:50の比率で投資している
・株の投資信託で大きな利益が出たことで、比率が株60:債券40になった
・株60を50に引き下げるために売却し、債券を40から50になるように買い増しを行った
リバランスをすることによって、以下の2つの効果があります。
- 高くなった比率を下げる:値上がりをしている内に「利益を確定」できる
- 低くなった比率を上げる:安くなった銘柄を安いうちに購入できる
ただし、利益を確定させるために売却すると、通常は20.315%の税金が取られてしまいます。
売却代金を比率40まで減った債券に投資するために投資信託Aを売却しても、得られる利益が目減りしてしまうわけです。
イデコなら運用益が非課税なので、株の投資商品で得た利益をそのまま債券の比率上昇に利用できます。
受け取り時も控除がある
イデコは受け取り方を自分で選ぶことができ、それぞれ控除が設定されます。
・一時金による一括受け取り
・年金での受け取り
・年金と一時金の受け取り
このうち、一括で受け取る場合は「退職所得控除」、年金で受け取る場合は「公的年金等控除」の対象として税控除が受けられます。
有利な税制で受け取ることで、運用した利益をより多く手元に残すことが可能です。
イデコ(iDeCo)のデメリット
「拠出」「運用」「受取」のそれぞれで税制メリットが得られるイデコですが、一定のデメリットもあります。
イデコを始める前には、以下のようなデメリット・注意点を理解しておきましょう。
・60歳になるまでは原則として引き出せない
・手数料がかかる
・職業によって掛金額に上限がある
・選ぶ商品によっては元本割れのリスクがある
60歳になるまでは原則として引き出せない
イデコは年金を上乗せで受け取るための制度であり、20~50代で引き出して使うことは原則としてできません。
お金がかかるのは決して老後だけではなく、「マイホームの購入」「子どもの大学進学」「急な病気での手術」など、さまざまなタイミングが考えられます。
イデコの掛金として支払った分は60歳まで引き出すことができないため、拠出額は慎重に決めなければいけません。
もしも掛金が多すぎて日常生活が大変になった場合は、拠出の減額手続きを選ぶことになるでしょう。
ただし、絶対に受け取れないというわけではなく、以下のケースでは途中引き出しも可能です。
・加入者が死亡
・病気やケガで障害を負った
手数料がかかる
イデコは「口座を開設する時」「口座を保有しているあいだ」など、一定の手数料が発生します。
支払いが発生する手数料は以下のとおりです。この手数料は全ての利用者が等しく負担する必要があります。
– | 金額 |
加入・移換時手数料 | 2,829円(初回1回のみ) |
加入者手数料 | 105円(掛金納付の都度) |
還付手数料 | 1,048円(還付の必要性が生じたとき) |
加入する金融機関・証券会社によって異なる(月0~500円など) |
職業によって掛金額に上限がある
イデコには職業ごとに掛金の上限が設定されており、お金に余裕があればいくらでも拠出できるわけではありません。
具体的な職業ごとの掛金上限額は以下の通りです。
自営業者等 | 月額6.8万円(年間81.6万円) |
会社員で会社に企業年金がないケース | 月額2.3万円(年間27.6万円) |
会社員で企業型DCにのみ加入しているケース | 月額2.0万円(年間24.0万円) |
会社員でDBと企業型DCにのみ加入しているケース | 月額1.2万円(年間14.4万円) |
会社員でDBにのみ加入しているケース | 月額1.2万円(年間14.4万円) |
公務員 | 月額1.2万円(年間14.4万円) |
※DB=確定給付年金
※企業型DC=企業型確定拠出年金
退職金や年金が恵まれているほど、拠出できる掛金が少ないのが特徴です。
逆に自営業者の場合は公的な年金などが少ない分、イデコでは大きな金額を拠出することが可能です。
選ぶ商品によっては元本割れのリスクがある
イデコで運用できる金融商品は、それぞれリスク・リターンが異なります。主な選択肢は以下の3つです。
・定期預金
・保険
・投資信託
たとえば定期預金は元本が保証されており、拠出した掛金が目減りすることはありません。
「絶対に損をしたくない。安心して運用したい」という場合には適しています。
一方、投資信託は「プロに運用を依頼し、利益を分配してもらう金融商品」であり、投資対象は株や債券などです。
株式投資やFX等と同じくリスクがあり、経済情勢によっては元本割れの可能性があります。
元本の保証もなく、受け取れる年金が掛金を下回る可能性はゼロにはなりません。
その代わり、投資信託で運用する銘柄で大きな利益が出れば、投資信託を通じて投資家もリターンを得られます。
また、選択する投資信託の銘柄によってはリスクを分散して値動きを抑えることも可能です。
元本割れのリスクをただ恐れるだけでなく、「どうすればリスクを抑えながら運用できるか」の勉強が必要ということです。
イデコ(iDeCo)向け銘柄の選び方
イデコのおすすめ銘柄についてはすでに紹介しましたが、イデコで投資できる商品はほかにもさまざまな種類があります。
おすすめ銘柄以外も候補に入れると数十種類にもなり、どれを選べばいいか迷ってしまうこともあるかもしれません。
そこで、イデコで扱っている銘柄・金融商品のうち、自身に合った商品を選ぶためのポイントを紹介します。
・元本確保型か、元本変動型(リスク性商品)か
・投資する地域はどこか
・インデックスファンドか、アクティブファンドか
・投資対象は株式か、それ以外か
・信託報酬はいくらか
・口座管理手数料がいくらか
元本確保型か、元本変動型(リスク性商品)か
イデコの商品ラインナップは大きく分けて「元本確保型」「元本変動型」に分かれています。
元本確保型 | あらかじめ決まった金利で運用することで、満期まで持てば元本が確保できる |
元本変動型 | 運用結果次第で元本が変動し、満期時に受け取れる額はパフォーマンスによって異なる |
元本確保型なら満期まで保有することで得られるリターンが決まっており、満期まで保有すれば元本が拠出額を下回ることは原則ありません。
ただし、お金の価値が目減りする(インフレ)には弱く、また元本変動型と違って大きく利益を得られる可能性はありません。
元本変動型は運用状況次第で元本割れの可能性もありますが、インフレに対応できるほど大きく利益を得ることも可能です。
自身がどれだけのリスクを許容できるかによって、選ぶ商品は変わってくるでしょう。
投資する地域はどこか
元本変動型の投資信託はプロに運用を委託して、得た利益を分配してもらえます。
プロが投資するのは日本の株式ばかりではありません。
アメリカをはじめとする先進国や中国・インドをはじめとする新興国に投資するファンドもあります。
また、1つの国・地域だけでなく「日本も先進国も新興国も世界中に投資する」という全世界型と呼ばれるタイプもあります。
投資対象を広くするほど値下がりリスクも分散させられるので、初心者の方は全世界株がおすすめできます。
インデックスファンドか、アクティブファンドか
ひとくちに元本変動型(投資信託)といっても、運用スタイルによって以下の2つに分けることができます。
インデックスファンド | 日経平均、TOPIX、S&P500、ダウ平均などのベンチマーク(指数)に連動した値動きを目指す投資信託 |
アクティブファンド | 上記のベンチマーク(指数)を上回る運用を目指す |
結論からいうと、初心者におすすめなのは「インデックスファンド」です。
市場平均と同様のリターンを狙うことができ、投資対象も広く分散されています。
また構成銘柄も指数と同様なので銘柄の決定や入れ替えにコストも必要なく、信託報酬を0.1%前後に抑えることも可能です。
一方、アクティブファンドはファンドマネージャーが投資商品や入替商品を決めるため、コストがかかる分だけ信託報酬が高めに設定されます。
インデックスファンドを上回るリターンを得ることも可能ですが、どのアクティブファンドが好成績かは分かりません。
投資家自身が、アクティブファンドの良し悪しを見抜く必要があります。
投資対象は株式か、それ以外か
イデコを通じて投資できる「投資信託」の対象は株式だけではありません。
以下のような投資対象があり、それぞれリスクもリターンの期待値も異なります。
投資できる対象資産 | 主な特徴 |
---|---|
株式 | リスクもリターンも大きい |
債券 | リターンが小さいが、リスクが小さくて安全性が高い |
不動産(REIT) | 安定した収益と値上がり益の両方が狙える |
金 | インフレや戦争リスクに強い |
株式はリターンの期待値が大きいのですが、たとえばリーマンショックやコロナショックのような金融危機では資産が半分前後まで暴落することも考えられます。
一方、債券は株式と逆の値動きをするとされており、投資対象に混ぜておくことで暴落時の株の値下がりをカバーすることが可能です。
資産ごとの特徴やメリットを把握し、どのような比率で投資するかを決めることも長期運用では重要です。
信託報酬はいくらか
投資する金融商品を決めたら、「信託報酬」を比較しましょう。
同じ資産・同じ国に投資する投資信託でも、それぞれで信託報酬の設定は異なります。
信託報酬は投資期間中、投資信託の残高に対して毎日差し引かれる手数料です。
iDeCoは60歳までの長期間にわたって運用することが前提なので、信託報酬は低ければ低い方が良いでしょう。
たとえば信託報酬が1%のアクティブファンドに100万円分投資して30年運用する場合、必要なコストは以下の通りです。
信託報酬が1%のアクティブファンドに100万円分投資して30年運用する場合
100万円×1.0%×30年=30万円
一方、信託報酬が0.1%のインデックスファンドなら必要なコストは以下のとおりです。
信託報酬が0.1%のインデックスファンドに100万円分投資して30年運用する場合
100万円×0.1%×30年=3万円
コストだけで27万円もの差が出てしまいます。
アクティブファンドならインデックスファンドよりも大きなリターンを得られる可能性もありますが、コストの差を埋めて余るほどのリターンが得られるかはよく検討しなければいけません。
口座管理手数料がいくらか
イデコで必要なコストは、投資信託を保有していると支払う「信託報酬」だけではありません。
・加入時手数料
・受取手数料
・口座管理手数料
さまざまなコストがかかるので、事前に把握することが重要です。
特に毎月支払う「口座管理手数料」は証券会社ごとに異なり、171円~500円以上と幅があります。
数百円のコスト差でも20~30年も投資すれば、最終的な利益が数万円も減ってしまう可能性もあるのです。
口座管理手数料ができるだけ安い証券会社を選びましょう。
イデコ(iDeCo)を使った資産形成に向いている人の特徴
資産形成の方法にはイデコだけでなく「つみたてNISA」「個別株」「投資信託」「債券」などさまざまな方法があり、それぞれメリット・デメリットや向いている人が変わってきます。
資産形成の手段としてイデコが向いているのは、以下のような人です。
・老後の資産形成がしたい人
・毎月の掛金を積み立てる余裕があり、引き出せなくても困らない人
・自分だけでは貯金できずに使ってしまう人
老後の資産形成がしたい人
イデコは、個人型確定拠出「年金」という名称のとおり、老後の資産形成のために利用できる制度です。
老後資金を準備する方法は「預貯金」「株式投資」「FX」なども選択肢にはなりますが、iDeCoなら税制メリットを得ながら老後資金の準備ができる点で有利といえます。
・掛金が全額所得控除
・運用期間の利益が非課税
・受取時も「退職所得控除」「公的年金等控除」の利用が可能
単に貯金するだけよりも掛金の分だけ所得税・住民税が節税できるのでお得ですし、途中で引き出すことができないので強制的に老後資金を貯めることができます。
毎月の掛金を積み立てる余裕があり、引き出せなくても困らない人
前述したとおり、イデコは拠出した掛金とそこから得る利益について、最短でも60歳までは引き出すことができません。
一度始めると毎月一定額(最低5,000円)は積み立てる必要があるので、毎月掛金が引かれても生活に困らないことが利用の前提条件です。
掛金を安く変更することもできますが、年に1回しか変更することができません。
拠出する金額を引き出せなくても生活に困らないかは、イデコを検討する最初の段階で考えておきましょう。
自分だけでは貯金できずに使ってしまう人
「60歳までは引き出せない」というのは一見するとデメリットですが、考え方によってはメリットにもなります。
たとえば「お金があるとすぐに使ってしまう」「計画的な貯金が苦手」という方。
イデコは口座からの自動引落しで投資できるので、貯金が苦手な人でも自動的に一定額を投資に回すことができます。
まとめ
証券会社や金融機関によってイデコの商品ラインナップだけでなく、管理手数料などのコストにも違いが生じます。
選択肢はさまざまですが、基本的には取り扱い商品が多くてコストが低い「ネット証券」がおすすめです。
投資する商品は「できるだけ幅広く分散投資できる」「ベンチマークに連動した値動きを目指すインデックスファンド」「信託報酬が低い」などの条件を満たした商品が狙い目です。
付帯サービスなど細かいところにも注目し、ご自身にぴったりの商品を見つけましょう。