【2025年最新版】待機児童が多い市区町村ランキング|保育園に入りづらい地域はどこ?

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なぜ今「待機児童ランキング」が注目されるのか

「待機児童」とは、保育所などの利用を希望しているにも関わらず、定員オーバーなどの理由で入所できない子どものことを指します。共働き世帯の増加や出生数の変動、都市部への人口集中により、特定の地域では保育施設の整備が追いつかず、待機児童問題が深刻化しています。

2025年現在、政府や自治体は待機児童ゼロを目指した施策を進めていますが、地域差は依然として大きく、保活(保育園探し活動)が激戦となるエリアも少なくありません。この記事では、最新の公的データをもとに、待機児童数の多い市区町村ランキングを紹介し、対策や傾向をわかりやすく解説します。

全国待機児童数ランキングTOP20(市区町村別)

以下は、2025年4月1日時点の最新公的データに基づく、市区町村ごとの待機児童数が多い順のランキングです。

順位市区町村名都道府県待機児童数
1大津市滋賀県184人
2西宮市兵庫県121人
3四日市市三重県72人
4世田谷区東京都58人
5守山市滋賀県58人
6名護市沖縄県56人
7所沢市埼玉県53人
8町田市東京都46人
9八千代市千葉県45人
10白岡市埼玉県36人
11荒川区東京都33人
12北本市埼玉県32人
13豊中市大阪府28人
14八潮市埼玉県25人
15那覇市沖縄県25人
16茨木市大阪府24人
17草加市埼玉県24人
18桜井市奈良県18人
19草津市滋賀県17人
20中城村沖縄県19人

※上記の数値は、2025年4月1日時点の最新公的データに基づいています。

待機児童が多い市区町村の背景と共通点

2025年の最新データから見えてくる、待機児童数が多い市区町村にはいくつかの共通点があります。ここでは、大津市(滋賀県)、西宮市(兵庫県)、世田谷区(東京都)など、ワースト上位の地域に見られる傾向を整理してご紹介します。

1. 都市部ベッドタウンとしての人口流入

大津市や西宮市は、大阪・京都・神戸といった大都市圏への通勤が可能なベッドタウンとして、若い子育て世帯の転入が続いています。特に新興住宅地では急速に人口が増え、保育ニーズの高まりに施設整備が追いつかないケースが多く見られます。

2. 共働き家庭の多さと育休明け復職

都市部では共働き家庭が多く、1歳児の復職タイミングで保育園に預けたいというニーズが集中しやすい傾向にあります。特に1~2歳児クラスは定員に対して希望者が多く、競争率が高くなることで待機児童の発生につながっています。

3. 小規模保育や認可外施設への依存

世田谷区などの一部地域では、認可保育園への入所が難しいため、やむを得ず認可外施設や小規模保育へ預けているケースが多く、統計上「待機児童」としてカウントされない「隠れ待機児童」の存在も課題です。

4. 行政と民間の連携不足

施設整備や保育士確保に向けたスピード感のある施策が求められる中で、一部自治体では民間との連携や土地確保の難しさから、新設が遅れている例もあります。

5. 保育士不足の慢性化

施設を整備しても、保育士が確保できなければ運営できません。特に関西・首都圏の一部では保育士の待遇改善が進まないことにより、募集に苦戦している実情があります。

待機児童ゼロの自治体はここ!成功事例に学ぶポイント

2025年4月1日時点で、全国1,741市区町村のうち約1,500以上の自治体が待機児童ゼロを達成しました。特に地方都市や郊外では、人口動態の安定や施設整備の進展により、待機児童の発生を抑えられている地域が増えています。ここでは、代表的なゼロ達成自治体の取り組みを紹介します。

1. 鹿児島市(鹿児島県)|全国ワーストからのV字回復

鹿児島市は、2022年には待機児童数全国ワースト1位でしたが、その後の抜本的な施設整備や潜在保育士の復職支援などにより、2024年・2025年と2年連続でゼロを達成。全国から注目されるモデルケースとなりました。

2. 木津川市(京都府)|家庭的保育の活用で対応

木津川市では、家庭的保育や小規模保育施設を積極的に活用し、柔軟な受け皿を確保。保育士の待遇改善も進めたことで、ゼロを継続しています。

3. 宇都宮市(栃木県)|施設の質と保育環境を重視

宇都宮市では、園庭付き保育所の推進や親子支援センターとの連携を強化し、子どもがのびのび育つ環境づくりに力を入れてきました。これにより、待機児童数ゼロを安定的に維持しています。

4. 港区(東京都)|都市部でもゼロを維持する先進自治体

東京都内でも特に財政的な余力がある港区では、待機児童対策に年間数十億円規模の予算を投じ、保育所整備と職員待遇向上を進めています。2025年もゼロを継続。

5. 埼玉県の38市町村|堅実な整備と地域連携でゼロを達成

埼玉県では、63の市町村のうち38市町村が2025年4月1日時点で待機児童ゼロを達成しました。

代表的なゼロ自治体には以下のような例があります:

  • さいたま市:大都市ながら4年連続ゼロを維持。
  • 戸田市:入所調整のICT化により空き枠ロスを削減。
  • 鴻巣市・吉川市・三郷市:地域型保育の積極展開でニーズに応える。

これらの自治体では、早期の施設整備、申込状況の「見える化」、保育士確保の支援などが共通して行われており、「予測」「連携」「柔軟性」のある運営が待機児童ゼロの鍵となっています。

保活が厳しい地域での対策法|待機児童リスクに備える7つの工夫

待機児童が発生している地域では、希望の保育園に入れないリスクが現実問題となっています。特に都市部や人口増加地域では、保育園の「点数制度」や「兄弟在園優先」などによって選考が厳しくなる傾向があります。以下では、そうした地域における保活の対策・工夫を7つにまとめました。

1. 早めの情報収集と自治体主催の説明会参加

多くの自治体では、保育園申込み前に説明会やガイダンスを開催しています。入園基準や必要書類、点数の付き方は自治体ごとに異なるため、公式情報を早めに入手することが肝心です。

2. 第5希望以上まで視野に入れて候補を複数用意

人気の園ばかりに希望を集中させると、すべて落ちる可能性も。第6〜第10希望まで出すことができる自治体もあり、選考漏れのリスクを下げるには複数園の見学と比較が必須です。

3. 認可外・企業主導型保育園も候補に

認可保育園に入れなかった場合、認可外施設や企業主導型保育園を一時的に利用する家庭も増えています。一部の自治体では、認可外利用を加点対象として再申込みが有利になるケースもあります。

4. 就労証明や勤務時間の見直し

多くの自治体で「就労時間」が点数加算の主要項目です。可能であればフルタイム化、または勤務時間の調整により、優先順位が上がることもあります。

5. 兄姉の同時申込み・在園状況の活用

兄弟姉妹がすでに同じ園に在籍している場合、入園選考での加点や優先入園がある自治体もあります。兄姉が未就学児の場合は、同時申込みを視野に入れるのも一案です。

6. 保育施設の「見学+評判」リサーチ

表面的な設備だけでなく、実際に見学し、在園児保護者の評判や口コミも確認することで、希望順位を決めやすくなります。また、職員の対応や雰囲気も確認ポイントです。

7. 不承諾時の再申請スケジュールを事前確認

一斉申込みで不承諾となった場合でも、再申請(追加募集)制度がある自治体もあります。見通しをもってスケジュール管理をしておくと、次のチャンスを逃さずに済みます。

保活に「絶対成功」はありませんが、情報を制する者がチャンスを掴みやすくなるのは確かです。早めの準備と柔軟な戦略で、家庭にとって最善の選択を目指しましょう。

2025年度から始まった保育関連制度・政策の注目ポイント

2025年度は、「こども未来戦略方針」に基づいた少子化対策・子育て支援の強化元年とも言える年です。政府は、予算の重点配分を通じて、保育制度に新たな変更や拡充を加えました。ここでは、保護者や保活家庭が注目すべき最新施策を紹介します。

1. こども誰でも通園制度(モデル事業の拡大)

保護者の就労要件を問わず、すべての家庭が短時間利用できる「こども誰でも通園制度」が、2025年度より全国約100自治体でモデル実施されます。対象は満3歳未満児で、月数回のスポット利用が可能。今後、全国展開に向けた法整備が予定されています。

2. 企業主導型保育施設の新規支援制度

企業主導型保育に対する国の助成金が拡充され、待機児童の多い地域や中小企業主導での開設に対する優遇措置が導入されました。これにより、働き方に応じた保育ニーズへの対応力が向上すると期待されています。

3. 保育士確保のための処遇改善費加算の拡充

深刻化する保育士不足を背景に、処遇改善費の支給上限が引き上げられました。特に、主任保育士や経験10年以上の保育士にはさらなる加算が行われるため、現場の離職防止と質の高い保育提供が狙いとされています。

4. ICTを活用した「保育所マッチング支援」

入園申込者と保育所の空き状況をリアルタイムで結びつける「保育所マッチングシステム」が一部自治体で試験導入されています。これにより、保活の不透明感や無駄な申請を減らす試みが進行中です。

5. 地域型保育施設の定員上限見直し

これまで19人以下とされていた地域型保育施設の定員上限が、地域の判断により一部拡大可能となりました。これにより、小規模施設の柔軟な運営が期待されます。

これらの制度・政策の目的は、「保育の量の確保」と「質の向上」の両立です。保護者側にとっては、保育選択肢の広がりと情報格差の是正が今後の鍵になります。

隠れ待機児童とは?統計に現れない課題と支援の必要性

「待機児童ゼロ」と報じられる地域であっても、実際には保育園に入れずに困っている家庭は少なくありません。こうした表には現れない保育ニーズ未充足のケースを「隠れ待機児童」と呼びます。こども家庭庁もこの問題を認識しており、制度的な見直しが求められています。

1. 隠れ待機児童の定義

一般的に「隠れ待機児童」とは、以下のような子どもを指します:

  • 認可保育園を希望したが、「育休中」「求職中」「時短勤務」などの理由で不承諾となり、申し込みを断念した家庭
  • 認可外施設にやむを得ず預けているが、本来は認可園を希望しているケース
  • 住民票上の居住地ではなく、勤務地近くの園を希望して不承諾となった事例

2. 表面的な「ゼロ」が実態と乖離している例

多くの自治体では、「待機児童数」は国の定義に基づく報告であり、認可保育所への申込者のうち「継続的に入所希望を出している者」だけがカウントされます。そのため、「一度落ちて諦めた」「やむを得ず親族に預けている」などのケースは含まれません。

3. なぜ問題視されるのか?

この隠れ待機児童の存在は、行政の保育ニーズ把握を困難にするだけでなく、保護者の就労・復職機会を損なう結果にもつながります。特に、非正規雇用やひとり親家庭など、支援が必要な層ほど影響を受けやすい傾向があります。

4. 国や自治体の対応と課題

一部自治体では、認可外施設利用者数や入所不承諾者アンケートなどにより、隠れ待機児童の実態把握を進めています。また、2025年度からは「保育ニーズ未充足層の可視化」がこども家庭庁の中長期課題に掲げられ、今後の制度見直しにつながる可能性があります。

真に保護者のニーズに応えるには、「数値上のゼロ」ではなく、「生活実態に基づいた支援」が求められています。

待機児童問題の今後と家庭が備えるべきポイント

2025年現在、全国的には「待機児童数の減少」が進んでいますが、実際には地域差や「隠れ待機児童」の存在など、多くの課題が残されています。ここでは、今後の動向を見据えつつ、家庭として備えるべき視点をまとめます。

1. 国の方針:2030年までに「保育の質と量」を両立

政府は「こども未来戦略方針」に基づき、2030年を目標に保育施設の整備・職員確保・多様な保育形態の支援を推進しています。従来の「施設数」重視から「保育の質」「家庭の選択肢」を重視する方針への転換が進んでいます。

2. 地方と都市部の格差が拡大する可能性

待機児童ゼロを実現した自治体が増える一方で、人口増加や地価の高い都市部では施設確保が難しく、格差が生まれています。特に首都圏・関西圏の一部エリアでは、今後も入所競争が激化することが予想されます。

3. 保活成功のカギは「情報」「行動」「柔軟性」

家庭としてできる最大の備えは、地域の最新情報をいち早く把握し、早めに保育園見学や申込準備を始めることです。希望にこだわりすぎず、柔軟な選択肢を持つことも重要です。

4. 保育にかかる費用とライフプランもセットで検討を

入所できたとしても、認可外保育施設や延長保育には追加費用が発生することもあります。出産から小学校入学までの保育費を想定し、貯蓄・保険・学資準備も計画的に行う必要があります。

ライフステージ全体で見た保育戦略を描くことで、精神的・経済的なゆとりを持って子育てに臨むことができるでしょう。

まとめと支援サービスのご案内|子育て家庭に今できること

2025年現在、待機児童の数は全国的に減少傾向にありますが、都市部を中心にまだ多くの家庭が保育園探しに苦労しているのが現実です。「待機児童ゼロ」と言われても、見えない問題や地域格差、保育士不足、育休復職タイミングのズレなど、乗り越えるべき課題は多岐にわたります。

そんな中で、家庭ができることは「早めの情報収集」「柔軟な選択肢の準備」、そして「お金や時間の備え」です。将来を見据えたライフプランの検討も、安心して子育てをするうえで欠かせません。

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