定年目前、独身・頼れる家族なし・資産ゼロ…それでも老後は立て直せる【2025年版】

目次

はじめに|頼れる人がいなくても、老後はやり直せる

定年を間近に控え、「貯蓄も資産もなく、独りでこの先どうすればいいのか…」と、不安を抱えている方は少なくありません。結婚せずに生涯を過ごした方、家族とのつながりが希薄な方、長年仕事に専念してきた結果、頼れる人が身近にいないという状況も、いまや珍しくはない時代です。

内閣府が発表した「令和5年 高齢社会白書」によれば、65歳以上の単身高齢者は男性で約16.0%、女性で約22.0%にのぼっています。さらに、年齢を重ねるにつれその割合は高まり、「老後を一人で生きる」というのは特別なことではなくなっています。

一方で、貯蓄がないことに焦りを感じ、「老後破綻」「孤独死」といった言葉に過剰な恐怖心を抱いてしまう方も少なくありません。しかし、大切なのは“今どんな状況にあるか”ではなく、“これからどう備えるか”です。

たとえ家族が近くにいなくても、資産がなくても、行政サービスや地域の支援、そして自助努力によって、老後の暮らしを整えていく道は確かに存在します。

この特集では、以下のような不安を抱える方に向けて、

  • 住まいをどう確保するか
  • 収入をどう維持・得るか
  • 医療や介護にどう備えるか
  • 自分の最期をどう準備するか

といった、一人でもできる老後対策をわかりやすくご紹介します。

今からでも、遅くありません。
必要なのは「知ること」と「行動すること」です。
ご自身の人生を安心して歩むために、まずは現実を知り、今からできることを始めていきましょう。

老後に必要なお金|年金と生活費の差をまず知ろう

まず最初に確認しておきたいのは、「老後の生活にどれだけのお金が必要なのか」という現実です。現在の日本では、年金だけで生活をまかなうのは難しい場合も多く、収支のギャップが将来不安の大きな原因となっています。

単身高齢者の平均的な生活費はいくら?

総務省「家計調査(2023年)」によると、高齢単身無職世帯の月平均支出は以下の通りです。

項目月額(全国平均)
消費支出合計約149,000円
食費約38,000円
住居費約13,000円(持ち家率が高いため低め)
光熱・水道約13,000円
保健医療・交通・交際費など残り合計で約85,000円

持ち家ではない賃貸住宅に住んでいる場合は、住居費が5〜7万円ほど上乗せされるケースも多く、月18万円以上かかることも珍しくありません。

公的年金の平均受給額は?

一方で、収入源となる年金の支給額は以下の通りです(厚生労働省「令和5年度年金制度基礎資料集」より)。

年金の種類平均月額(2023年時点)
国民年金(老齢基礎年金)約56,000円
厚生年金(会社員経験あり)約149,000円(男性)/約100,000円(女性)

つまり、自営業や非正規雇用で国民年金のみの方は、月10万円以上の赤字になることもあるということです。

差額をどう埋める?今からできる心構え

退職金や貯蓄がない状態で定年を迎える場合、「年金で足りない分をどう補うか」が課題となります。現実を直視するのはつらいこともありますが、以下のような心構えが大切です。

  • 固定費の見直しを徹底する
  • 必要に応じて就労を続ける
  • 公的支援制度の利用をためらわない
  • 人生100年時代に合わせ、年金を繰下げる選択も検討する

老後のお金に関する不安は、「正しく知る」ことからしか解消できません。
この先のセクションでは、こうしたギャップを補うために必要な「住まい・仕事・制度」の具体策を、順を追ってご紹介していきます。

住まい|住居を確保するために今からできること

老後の暮らしにおいて「住まいの安定」は、安心感を得るための最も基本的な土台です。しかし、独身で頼れる家族がいない場合、特に高齢期の住居探しにはさまざまな壁が立ちはだかることもあります。

高齢の単身者が賃貸住宅で直面する現実

民間の賃貸住宅市場では、「高齢の単身者」=「孤独死リスク」とみなされ、入居を敬遠されるケースがあるのが現実です。
加えて、保証人を求められることが多く、親族のいない方にとっては入居のハードルが非常に高くなります。

※公益財団法人日本賃貸住宅管理協会の調査でも、「高齢単身入居者への対応に不安を感じている管理会社は約70%」という結果が出ています。

保証人がいない場合の対処法

以下のような方法で保証人がいない状況でも入居しやすくなる場合があります:

  • 自治体が紹介する「身元保証サービス」(NPO法人や民間企業)
  • 家賃保証会社の利用(費用が発生しますが、保証人不要)
  • UR賃貸住宅や一部の公営住宅:保証人不要または簡易な要件で入居可

高齢者向けの住居制度を検討しよう

高齢者の居住安定のため、国や自治体は以下のような住まいの支援を行っています。

スクロールできます
制度・施設名内容備考
公営住宅(市営・都営など)所得に応じた低家賃で提供申込多数・抽選制あり
UR賃貸住宅保証人不要・礼金なし物件あり一部に高齢者優遇制度
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)安否確認・生活相談サービス付き民間運営。家賃・費用は幅広い
地域優良賃貸住宅(高齢者円滑入居)国や自治体の支援対象申込条件・空き情報は各自治体で確認

※詳細は「お住まいの自治体名+高齢者 住宅支援」で検索すると最新情報が得られます。


まとめ|「住まいの確保=生活の土台」と認識しよう

老後の不安の多くは「住まいが不安定であること」に起因します。まずは、以下の行動をおすすめします:

  • お住まいの自治体に住宅支援制度があるかを確認する
  • 民間保証人代行サービスやサ高住の情報を集めておく
  • 入居時に必要な初期費用の目安を把握しておく

生活の基盤である「住」を確保できれば、次に取り組むべき課題も整理しやすくなります。

働く|60歳を過ぎても続けられる収入の得方

貯蓄がないまま定年を迎えた場合、年金だけで生活費をまかなうのが難しいことは前のセクションでお伝えした通りです。そこで重要になるのが、「収入を得続ける」ことです。たとえ年齢を重ねても、自分に合った働き方を見つけることで、老後の不安を大きく減らすことができます。

再雇用制度を活用する

多くの企業では「高年齢者雇用安定法」に基づき、希望者に対して65歳までの再雇用制度を設けています。

  • 正社員としての雇用ではなく、嘱託社員や契約社員となるケースが一般的
  • 年収は現役時代より下がることが多いが、安定的な収入と社会とのつながりが得られる
  • 雇用延長で社会保険も継続できる

まずは、現職の人事部や総務部に再雇用制度の内容を確認してみましょう。

在職老齢年金制度も理解しておこう

60歳以降も働きながら年金を受け取ることは可能ですが、収入と年金の合計額によっては一部が減額される制度(在職老齢年金)があります。

ただし、2022年以降は基準額が「月収47万円」に引き上げられ、多くの方が働きながらも減額されずに年金を受給できるようになりました。年金と就労のバランスを考えることが大切です。

高齢者向けの仕事を探す方法

収入を得る手段は何もフルタイム就労だけではありません。以下のような柔軟な働き方も視野に入れましょう。

スクロールできます
働き方特徴参考例
シルバー人材センター地域での軽作業や事務補助など公園清掃、封入作業など
クラウドワークス/ランサーズ在宅でできるPC業務データ入力、記事作成
業務委託の仕事人手不足の業界で柔軟な勤務清掃、警備、配送等
短期・単発バイト時給制で働きやすいコンビニ、品出し、倉庫作業

特に、体力的な負担が少ない在宅型の仕事は、今後ますます需要が高まると考えられます。


働き続けることで得られる“お金以外”の価値

高齢期に働くことは、収入の確保にとどまらず、

  • 社会とのつながり
  • 健康維持(生活リズムの安定)
  • 孤立予防

といった精神的なメリットも大きいのです。

「働けるうちは働く」という姿勢は、老後を明るく自立して生きるための最も有効な選択肢のひとつです。

頼れる制度|一人でも使える公的支援サービス

独りで老後を迎える場合、「頼れる人がいないから支援は受けられない」と思い込んでいませんか?
実際には、家族がいなくても利用できる公的制度は数多く存在します。困ったときには制度に頼ることも、立派な自立の一歩です。

生活に困ったときに相談できる支援制度

日本には、生活の困窮に直面した人を対象とした支援制度が複数あります。

制度名内容相談窓口
生活困窮者自立支援制度家賃・生活費・就労支援など市区町村の福祉課
生活保護制度最低限の生活費や医療費の支給福祉事務所
一時生活支援事業住まいのない方に宿泊場所・食事を提供自治体または委託NPO

生活保護は「最後の手段」と考えがちですが、家族がいない方ほど制度の対象となる可能性は高いです。申請をためらう必要はありません。

実際には、年金だけでは暮らせずに生活保護を受けている高齢者も多くいます。

高齢者の日常生活を支える地域の制度

収入の問題だけでなく、生活支援や見守りが必要な場合にも使える制度があります。

  • 地域包括支援センター(全国各地)
     → 健康相談、介護サービスの紹介、見守り体制の構築など
     → 家族の代わりに相談役となってくれる存在
  • 高齢者向け配食サービス/買い物支援サービス(一部自治体)
     → 栄養バランスを考えた安価な弁当、移動支援の提供
  • 社会福祉協議会の生活支援ボランティア
     → ごみ出しや電球交換など、ちょっとした支援が受けられる

これらの制度は、身近に頼れる人がいない人のために設計されているものも多く、「一人だからこそ」利用してほしい支援です。

申請時の注意点と心構え

  • 制度によっては「収入証明書類」「住民票」「通帳の写し」などが必要です
  • 一人で行くのが不安な場合は、無料の相談支援員やNPOに同伴してもらうことも可能
  • 「家族がいないと利用できないのでは?」という心配は、ほとんどの場合に不要

一人暮らしだからこそ、制度を遠慮なく使おう

制度を使うことは「甘え」ではありません。むしろ、自分の人生を守るための責任ある行動です。
まずはお住まいの自治体のホームページで「高齢者 支援制度」や「生活困窮者 自立支援」などのワードで調べてみてください。

行政サービスは、必要としている人に使ってもらうためにあります。
一人で抱え込まず、「支援を受ける勇気」を持つことが、人生を立て直す大きな一歩になります。

医療と介護|入院・介護・病気に備える準備

老後の不安の中でも特に大きいのが、「自分が倒れたとき、助けてくれる人がいない」という問題です。
病気やケガで入院が必要になったとき、また将来介護が必要になったとき、頼れる家族がいない場合でも備える方法はあります

入院時の「身元保証人」がいない場合の対処法

現在の日本では、多くの病院で入院時に「身元保証人(緊急連絡先・支払保証人)」の記入を求められます。
独り身の場合、この点で困難を感じる方が多いですが、以下の方法で対応できます。

  • 身元保証代行サービスを提供するNPO法人や民間企業を利用
     → 高齢者向けの生活支援サービスとセットで月額契約可能
     → 一般財団法人や司法書士法人が運営する信頼性の高いものも存在
  • 地域包括支援センターで相談
     → 地域によっては、社会福祉協議会などが支援している場合もあります

利用時には契約内容や費用、万が一の責任範囲などをしっかり確認することが大切です。

介護が必要になったらどうする?

介護が必要になった場合でも、家族の助けがなくても公的な介護保険制度を利用すれば対応が可能です。

介護保険のポイント:

  • 65歳以上は申請すれば誰でも利用可能(要介護・要支援認定)
  • 地域包括支援センターやケアマネージャーが、介護サービス計画を立ててくれる
  • デイサービス、訪問介護、ショートステイなど、柔軟な利用が可能

早めに地域包括支援センターに相談しておけば、体調が悪化したときの支援体制が整いやすくなります。

任意後見制度で将来に備える

判断能力が低下した場合に備えて、信頼できる第三者に生活の支援や財産管理を委ねる制度が「任意後見制度」です。

  • あらかじめ契約を結んでおき、将来必要になったときに後見が開始
  • 弁護士や司法書士など、専門家を後見人に指定できる
  • 一人での生活に不安がある方におすすめ

医療費・介護費の自己負担を軽減する制度

  • 高額療養費制度:自己負担額が一定以上になった場合、差額が戻ってくる
  • 介護保険の負担限度額認定制度:所得が少ない方は、サービス費が大幅に軽減される
  • 医療保険の見直し:保険料を抑えながら最低限の保障を確保することも検討の価値あり

一人だからこそ「仕組み」と「制度」を使う準備を

将来、入院や介護が必要になったときに慌てないためには、「元気なうちに」準備しておくことが肝心です。

身近に頼れる人がいないからこそ、第三者に任せる仕組みや公的制度の活用が、あなた自身を守る大きな支えになります。

最期の備え|エンディングノートと死後の手続き準備

独り身で頼れる家族がいない場合、自分の最期をどう迎えるか、そしてその後の手続きは誰が行ってくれるのか――この問題は、生前からの備えがとても重要になります。
「まだ早い」と思わず、元気なうちに意思を整理しておくことが、将来の安心に直結します。

エンディングノートで“もしも”に備える

エンディングノートは、法的拘束力はないものの、あなたの希望や意思を伝えるための有効な手段です。

記載しておくとよい内容例:

  • 延命治療の希望有無
  • 葬儀やお墓の希望
  • 賃貸物件の解約や電気・ガスなどの停止方法
  • 通帳・証券・保険の所在
  • 親しい知人への連絡先
  • デジタル遺産(SNSやスマホのロック解除情報)

書店や100円ショップ、自治体で配布しているテンプレートも活用できます。

死後の手続きが必要な人がいない場合の対応

一般的には家族が行う死後の手続き(火葬、役所への届け出、家財の整理など)を、専門家や信頼できる団体に委託する方法があります。

死後事務委任契約とは?

  • 自分が亡くなった後の事務手続きを生前に第三者と契約する制度
  • 弁護士、司法書士、NPO法人などが対応
  • 火葬・埋葬・賃貸契約の解約・遺品整理などを代行

費用は契約先や内容により異なりますが、おおむね10〜30万円程度から利用可能です。

遺言書の作成も検討を

  • 財産が少なくても、誰に何をどう残すか明確にしておくことが重要
  • 書式を守れば自筆でも作成可(2024年以降は法務局で保管も可能)
  • 争いを避けるため、財産がわずかでも「公正証書遺言」が望ましいケースも

財産がないからといって無関心でいると、残された手続きが煩雑になり、結果的に迷惑をかけてしまうこともあります。

自治体による支援も確認しておこう

一部自治体では、以下のような支援制度があります。

支援内容対象者
無縁仏としての埋葬引き取り手がいない場合自治体による火葬・合同墓での埋葬
葬祭費の支給制度国民健康保険加入者の遺族上限5万円程度(市区町村により異なる)

「●●市 葬祭費支給」や「●●市 無縁仏対応」などで検索して、自分の地域の支援状況を把握しておきましょう。

60代からの資産形成と節約術

「もう60代だし、今さら貯金なんてできない…」と諦めてしまうのは早すぎます。少額でも、収入と支出を見直しながら“生活を立て直す”ことは十分可能です。ここでは、資産がない状態からでも始められる対策を紹介します。

積立は小額からでも可能|つみたてNISA・iDeCoの再確認

貯金ができない理由の多くは、「余ったら貯める」スタイルになっていることです。
まずは毎月1,000円からでも“先取り貯蓄”を行う習慣をつけることが大切です。

  • つみたてNISA(2024年から新NISAに移行)
     → 口座開設は年齢制限なし。非課税枠が拡大され、60代からでも利用しやすい制度に。
  • iDeCo(個人型確定拠出年金)
     → 加入は65歳未満まで(国民年金第1号は60歳未満)。税制優遇あり。

「運用は難しそう」と感じる方は、銀行の定期積立や財形貯蓄のような仕組みからでもOKです。

支出の固定費を徹底的に見直す

収入が限られている中では、「出ていくお金を減らす」ことの効果が大きいです。特に見直しやすい固定費を以下に整理します。

項目見直しポイント
保険料医療保険や生命保険が過剰になっていないか?必要最低限に調整を
通信費格安SIM・インターネットの契約プランを再確認
住居費家賃が収入に対して重すぎないか?公営住宅の検討も
サブスク使っていないサービスを一括解約

また、「家計簿アプリ」などで支出を“見える化”するだけでも節約効果は期待できます。

食費・日用品の節約術

  • 近隣のフードバンクや社会福祉協議会が実施する「食品提供」イベントに参加
  • シニア向けスーパーの割引デー(例:65歳以上5%引き)
  • ドラッグストアのPB(プライベートブランド)商品を活用

生活保護を受けずに何とかやりくりしたいという方ほど、地域の助け合いや無料支援を知っておくことが力になります。

「節約=苦しい」は思い込み

節約は、ただ我慢することではなく「ムダを省く工夫」です。
特に独り暮らしの場合、自分の価値観だけで生活スタイルを整えられる利点があります。

60代からの節約と貯蓄は、「豊かに老いる」ための準備です。少しずつでも、自分を守る力になります。

まとめ|一人でも、人生は今からでも整えられる

定年を迎えるにあたり、「独身」「頼れる家族がいない」「資産もない」という状況は、決して珍しいものではありません。
それでも、制度を知り、支援を受け、自分の力で一歩ずつ備えていけば、人生はやり直すことができます。

ここまでご紹介してきたように、

  • 住まいの確保は、自治体やUR賃貸などの制度で支援される
  • 収入の確保は、再雇用や副業、在宅ワークという選択肢がある
  • 医療や介護、死後の手続きも、一人で準備できる制度や支援がある

大切なのは、「誰かに頼る」ことではなく、「頼れる仕組みを知る」ことです。

不安は、知らないことから生まれます。知れば、行動できる。
行動すれば、人生は整っていく。

支援制度や社会のセーフティネットは、「本当に困っている人」が使うべきものです。遠慮する必要はありません。
そして、「これからどう生きるか」を決めるのは、あなた自身です。

今この瞬間から、人生を立て直すことはできます。


最後に|老後の不安を相談できる無料窓口をご紹介

老後資金や年金、保険、医療費について、少しでも「誰かに聞いてみたい」と思ったら、無料の相談窓口を活用することをおすすめします。

目次